研究課題/領域番号 |
26380252
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
清水 崇 関西大学, 経済学部, 教授 (80323468)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 組織の経済学 / チープ・トーク・モデル / 貨幣のサーチ・モデル / 定常均衡の実物的非決定性 / 経済実験 |
研究実績の概要 |
論文"Which Is Better for the Receiver between Senders with Like Biases and Senders with Opposing Biases?"を作成した。この論文では、複数の送り手のいるチープ・トーク・モデルにバイアスの不確実性を導入することによって、望ましい送り手のバイアスの組み合わせを議論した。主な結論は、送り手の状態についての情報が不完全なときには、同方向のバイアスを持つ送り手を組み合わせた方が、情報伝達の歪みが小さくなることである。
また投稿した雑誌からの要求により、"Cheap Talk with an Informed Receiver"(大阪大学の石田潤一郎氏との共著)、"Cheap Talk with an Exit Option: A Model of Exit and Voice"および"Can More Information Facilitate Communication?"(大阪大学の石田潤一郎氏との共著)の改訂を行った。
また、東京大学の神谷和也氏、関西大学の小林創氏、大阪府立大学の七條達弘氏との共同研究で、貨幣サーチ・モデルの実験を行い、その研究成果をまとめた論文"Price and Equilibrium Selection in Monetary Search Models: An Experimental Approach" を作成中である。この研究では、定常均衡の実物的非決定性という理論結果を背景に、実際にはどのような価格・均衡が選択されるのかを経済実験を通じて明らかにすることを企図している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
投稿した雑誌からの改訂要求に追われたことと、経済実験の準備に予想以上の時間がかかったことが主な原因である。前者について、具体的には、"Cheap Talk with an Informed Receiver"、"Cheap Talk with an Exit Option: A Model of Exit and Voice"および"Can More Information Facilitate Communication?"の改訂である。後者について、具体的には、実験の設定上必要な命題の証明が遅れたことである。
|
今後の研究の推進方策 |
貨幣サーチ・モデルの実験について、今年度行った実験結果をより明確にするために、対照実験を行う必要がある。より具体的には、他人の価格の提示額を各被験者に知らせない形で実験を行ったが、これを知らせる形の実験も遂行し、それらの間で価格や均衡の収束の様子がどのように異なるかを比較する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
投稿した雑誌からの改訂要求に追われたことにより、研究報告を行えなかったことが主な理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
申請者の今までの研究成果を発展させる形で研究を進めつつ、国内外のコンファレンス・研究会に参加・報告することにより、専門家との交流を図る。特に次年度使用額については、国内の研究者との共同研究打合せについて支出する予定である。
|