研究課題/領域番号 |
26380254
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 努 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40281779)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新自由主義 / 経済思想 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、論文「福祉国家の哲学的基礎--潜勢的可能性としてのケイパビリティ」を「上」「下」に分けて、それぞれ雑誌『思想』の2015年4月号と5月号に掲載した。また、論文「自律していない者たちの社会契約--リバタリアン・パターナリズム論の射程」は、内田隆三編『現代社会と人間への問い いかにして現在を流動化するのか?』せりか書房、2015年11月刊行に所収された。エネルギー問題について、冊子『さっぽろ エネルギーの未来』札幌市市長政策室政策企画部(エネルギー政策統括担当)のなかの「9.創エネ・省エネのための新しいライフスタイルに向けて」を担当した。同冊子は札幌市の市役所・区役所・区民センターで配布しているほか、ホームページでも公表している。論評として、「トマ・ピケティ『21世紀の資本』――100年先を見据えた政治変革という、人類の英知が問われている」を『図書新聞』2015年5月2日に発表した。講演「経済倫理=あなたは、なに主義?」を、台湾における朝暘科技大学管理学院にて、5月5日に行った。経済学史学会の第79回大会(滋賀大学、5月31日)において、セッション「現代経済思想の根本問題:贈与と所有」を企画、司会を務めた。鼎談「経済学は、どこから来て、どこへ向かうのか?」岩井克人+若田部昌澄+橋本努『総力ガイド! これからの経済学 マルクス、ピケティ、その先へ』経済セミナー増刊号、9月刊行に発表。経済教育学会の全国大会における基調講演「だれのために、なんのために―経済と倫理の接点を探る」も務めた(9月26日、日本体育大学)。この他、講演 「「ロスト近代」における資本主義の新たな駆動因」(10月2日)日本たばこ産業株式会社本社ビル、セミナー企画「北海道ブランドの企業経営をきく--小樽田中酒造社長を招いて--」(7月9日、北海道大学大学院経済学研究科)なども行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時に、本研究を三つの段階に分けたが、過去二年間の研究によって、すでに第三段階のテーマに関する成果をあげている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針は、北欧型の新自由主義というものが、福祉国家の新しい理念となりうる可能性について、さらなる検討を続けることである。北欧型新自由主義は、現実の北欧諸国における新自由主義の受容を通じて、21世紀の福祉国家体制が、どのような指針をもちうるのかについて現実的可能性とその思想的基盤を明らかにすることである。その思想的検討を続けるために、最近、新たな規範理論として注目を浴びている「リバタリアン・パターナリズム」について、これを批判的に検討しつつ、自らの思想的なスタンスと理念を練り上げたい。さらに今年度は、フランスのエクス・マルセイユ大学において二か月半ほど滞在する計画を立てている。テーマは「ヨーロッパとアジアにおけるリベラリズムの比較研究」である。同大学の研究者たちと交流しつつ、私の考える新たな福祉国家リベラルの理念を練り上げ、グローバルな情報発信をしたい。この他、経済学史学会の全国大会における報告と、日本法哲学会大会における報告を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランスのエクス・マルセイユ大学に客員研究員として滞在する計画のため、予算を多く使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由から、旅費および滞在費として使用する。
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