研究課題/領域番号 |
26380257
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
御崎 加代子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (90242362)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ワルラス / 一般均衡理論 / 企業者 / フランス / 社会経済学 / 経済学史 |
研究実績の概要 |
ワルラスの純粋経済学に登場する企業者が利潤を受け取らない非現実的な存在であることはよく知られているが、ワルラスの社会経済学や応用経済学において、企業者がどのような現実的存在として議論されているのか、ほとんど知られていない。本研究の目的 では、純粋・社会・応用経済学の3つの分野からワルラス企業者論の全貌を示し、ワルラスの真の意図を示すことにある。 26年度においては、まず5月の経済学史学会JSHET全国大会(立教大学)において、本研究の導入部分に当たる内容の日本語論文の報告を行った。この論文は、ワルラスのマルクス批判がワルラス社会経済学の企業者国家論と密接に関連していることを示すものであり、関連分野の研究者たちと議論を深めた。 年間を通じて、ワルラスの企業者論、フランス19世紀思想、経済学史にかかわる図書の購入と検討を行った。これらの研究成果を英語論文にまとめる準備にとりかかり、27年度に開催される国際ワルラス学会AIW(パリ ソルボンヌ大学)の報告募集CFPに、その論文の要約を提出した(2月)。その後、同学会から報告が承認された(4月)。同学会の審査員からも指摘されたが、ワルラス企業者概念の社会経済学と応用経済学における扱いを取り扱った研究はまだ少ないうえに、私の論文はそれらの検討によってワルラスが効率と公正の両立にいかに取り組んだかを示そうとしている点に大きな意義がある。 また3月にスイスのローザンヌ大学ワルラス=パレート研究所に出張し、同研究所所蔵のワルラス文庫の調査を行い、ワルラス企業者論の起源について検討し、同研究所のワルラス研究者たちと意見を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本テーマにかかわる資料収集はローザンヌ大学ワルラス文庫での調査も含めて、予想以上に順調にすすんでいある。 研究報告については、国内学会の報告を無事終え、報告論文を加筆修正のうえ、来年度の発表につなげる予定である。それとは別の英語論文も来年度の国際ワルラス学会での報告が決定し、準備がすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究発表については、国際学会での発表を積極的に進めてゆくと同時に、関連する研究者たちと実りある意見交換をするために、国内外での関連する大学や研究所などで小規模のセミナーをできるだけ開催する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が生じた理由は、3月のローザンヌ大学への資料調査が学内業務の都合で、予定より短期間に済ませる必要が生じたことと、英語論文の校閲費用が生じなかったことである。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度は9月にパリでの国際学会での研究発表が決まっている。差額を利用して、この出張旅行においては共同研究打ち合わせも含めて、ある程度余裕を持った日程を組む予定である。
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