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2014 年度 実施状況報告書

両大戦間期イギリスにおける家族手当構想と福祉国家の起源

研究課題

研究課題/領域番号 26380260
研究機関法政大学

研究代表者

原 伸子  法政大学, 経済学部, 教授 (00136417)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード福祉国家 / 家族政策 / エレノア・ラスボーン / 家族手当協会 / ケア / 貧困調査
研究実績の概要

1、科研費補助金研究の第一年度の課題は、リバプール大学とLSEに保存されているエレノア・ラスボーンの資料を調査することであった。また併せて、フランスのパリ市役所に赴き、現代のフランスのケア(とくに育児)制度に関する聞き取り調査をおこなうことであった。以下はその研究実績である。
(1)リバプール大学図書館、特別コレクションを閲覧することができた。とくに、調査の目的であった、エレノア・ラスボーンによる、リバプールのマージ―サイドの貧困調査を見ることができたことが成果としてあげられる。以下の資料である。Rathbone, Eleanor(1904), Report of Inquiry into the conditions of dock labour at the Liverpool docks, Nothern Publishing.
(2)ロンドン、LSEのWomen's Libraryでは、以下の資料を閲覧することができた。それは1920年代の家族手当協会がリバプールを重視して、リバプール大学のJonesに調査を依頼したものである。Family Endowment Society(FES)1925-29, Report of the Family Endowment Society, London: Family Endowment Society.
(3)フランス市では、フランス独自の出生主義的な育児政策の聞き取りをすることができた。それは、労働時間短縮の先進国フランスにおける先進的なワーク・ライフ・バランスの現実であった。
2、デジタルカメラで記録した上記資料を読み、現在、それを整理中である。その一部成果は、大原社研叢書/原伸子・岩田美香・宮島喬編著『現代社会における子どもの貧困』所収の論文「イギリスにおける福祉改革と子どもの貧困」の一部に用いた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度において当初計画していた、計画はおおむね順調に進んでいる。第一に、イギリス調査に関しては、リバプール大学ラスボーン文庫とLSEのWomen's Libraryでラスボーンの家族手当運動にいたる、貧困調査報告書をデジタルカメラで撮影し、現在解読中である。しかし、女性協同組合ギルドに関する資料を閲覧することができなかった。これについては、今年度の夏季休暇を利用した調査で資料収集を行えるようにしたい。第二に、今年度の研究成果の一部は、大原社研叢書/原・岩田・宮島編著『現代社会と子どもの貧困』(2015年3月)所収の拙稿「イギリスにおける福祉改革と子どもの貧困」の執筆に生かすことができたが、当該テーマに関する独立した論文の作成には至らなかった。今年度は経済学史学会の紀要『経済学史研究』に「女性と経済学」に関する英語論文を執筆することが確定しているので、そこで研究成果を発表することを考えている。なお、今年7月には、ベルリンで開催される、国際フェミニスト経済学会議で、福祉国家とジェンダー平等に関する報告(英語)を行う予定であり、当該研究を生かす予定である。

今後の研究の推進方策

(平成27年度の研究実施計画)
①前年度に引き続きイギリス調査を行う。ラスボーン文庫の閲覧を行うとともに、戦間期の労働者階級女性による女性協同組合ギルドの研究を行う。夏季休暇を利用した調査では、ケンブリッジ大学経済学と中央図書館所蔵の関連文献も調査する予定である。合わせて、フィンランドにおける先進的な介護保険制度の調査を行う予定である。
②研究成果については、今年中にラスボーンに関する論文を作成して、公表する予定である。公表に際しては、あらかじめ大原社会問題研究所の「子どもの貧困と労働」研究会で報告する予定である。
③なお、平成28年度には、「福祉国家とジェンダー・子ども」に関連する大原社研主催の国際会議をおこなう予定である。今年度の秋からは会議の準備を合わせて行いたい。
④また来年度は、経済学史学会報告にアプライする予定である。

次年度使用額が生じた理由

残額が生じた理由は、研究上、据え付け型のスキャナー(Scan Snap)を購入する予定であったが、販売金額が残額金を超えていたので次年度に購入することにした。幸い、法政大学多摩生協を通じて、2015年度初めに通常5万円を超えるスキャナーが4万円で購入できることを知りそちらで購入することにした。

次年度使用額の使用計画

2014年度の残金については、据え付け型スキャナー(Scan Snap)を購入予定(約4万円)。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] イギリスにおける福祉改革とジェンダー平等:ケアの市場化との関連で2015

    • 著者名/発表者名
      原 伸子
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 第682 ページ: 4-30

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] ワークライフバランスの論理・再考ー時間政策とジェンダー平等2014

    • 著者名/発表者名
      原 伸子
    • 学会等名
      独占論研究会
    • 発表場所
      明治大学駿河台校舎(東京都・千代田区)
    • 年月日
      2014-12-20
  • [学会発表] 労働のフレキシビリティとケア:働く女性のタイム・バインドと子どもの貧困2014

    • 著者名/発表者名
      原 伸子
    • 学会等名
      経済理論学会第62回全国大会
    • 発表場所
      阪南大学(大阪府・松原市)
    • 年月日
      2014-10-25
  • [学会発表] フェミニスト経済学の展開ー無償労働からケアへ2014

    • 著者名/発表者名
      原 伸子
    • 学会等名
      経済学史学会第78回全国大会
    • 発表場所
      立教大学新座キャンパス(埼玉県・新座市)
    • 年月日
      2014-05-25
  • [図書] 現代社会と子どもの貧困:福祉・労働の観点から2015

    • 著者名/発表者名
      法政大学大原社会問題研究所/原伸子・岩田美香・宮島喬
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      大月書店
  • [図書] ジェンダーの政治経済学2015

    • 著者名/発表者名
      原 伸子
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      有斐閣

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公開日: 2016-05-27  

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