研究課題/領域番号 |
26380260
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
原 伸子 法政大学, 経済学部, 教授 (00136417)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フェミニスト経済学 / 家族政策 / ケア |
研究実績の概要 |
平成27年度の実績は以下のとおりである。 ①単著『ジェンダーの政治経済学-福祉国家・市場・家族』の出版(平成28年2月)に際して、平成26年度、27年度に実施したイギリス調査研究による家族手当の歴史研究、およびフランス、フィンランド、イギリスにおける現代の各国の家族政策に関する聞き取りの成果を取り入れた。 ②平成27年7月にドイツ、ベルリン(Berlin School of Economics and Law)で開催された国際フェミニスト経済学会で、Flexible Work, Deficiency of care and Child Poverty、というテーマで報告を行った。これは、労働市場の流動化(フレキシビリティ)が、非正規労働を通じてひとり親家族の所得の不足とともに、子どもに対するケアの不足をもたらしていることを、労働政策研究・研修機構の「第3回 子育て世帯全国調査」の分析を通じて明らかにしたものである。国際学会における成果報告は、本研究の当初の計画では、平成28年度に予定していたが、研究途上の成果を報告したうえで学会メンバーからの意見を聞くという目的のために、早めに報告を行うことにした。 ③同上の国際学会において、マサチューセッツ大学のNancy Folbre, マンチェスター大学のJill Ruberyらに対する聞き取りを行って、現代の家族政策とフェミニスト経済学の理論的・政策的関連について意見交換した。その成果については現在、論文にまとめているところである。 ④9月にはフィンランド、イギリス調査をおこなった。ヘルシンキ大学では福祉国家論について研究会で報告する機会を得た。また、イギリス、ケンブリッジ大学では、トニー・ローソンが主催するシンポジウムに参加して、方法論的なジェンダー論について意見交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度、平成27年度の研究計画をおおむね達成するとともに、平成28年度に予定していた国際学会における報告もおこなった。その一方、平成26年度におこなった、リバプール大学の貴重書庫、およびロンドン大学で調査した1920年代のエレノア・ラスボーンが残したラスボーン文庫を読み、それを成果として発表するには、資料が膨大であることもあり、今少し時間がかかりそうである。
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今後の研究の推進方策 |
①日本におけるフェミニスト経済学からの家族政策研究を、海外の学会で報告することによる国際的な交流の意義を痛感している。私は、すでに、平成22年度と平成27年度に国際学会で報告したのであるが、今年度も、アイルランド、ゴールウェーで報告する予定である。 ②平成26年度におこなったイギリス調査、とくにラスボーン文庫の解読と、それにもとづく戦間期イギリスにおける福祉国家の構想に関する論文を、今年度まとめて発表したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は7740円であったが、英文校閲が2016年4月に必要であったために、その一部に充当することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年4月に依頼した英文校閲料の一部に充当する。
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