研究課題/領域番号 |
26380261
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
三田 剛史 明治大学, 商学部, 講師 (00624107)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済思想 / 中国 / 中華人民共和国 |
研究実績の概要 |
1.中華人民共和国期の経済学者の業績 本研究推進に当たり、まずは中華人民共和国期を代表する経済学者の経済学者の業績を概観することから始めた。馬寅初、巫宝三、朱紹文らの業績を掲載する文献を収集し、特にマルクス経済学以外の観点から中国の経済史と中国経済の当時の現状をどのように見ているのかに着目して、彼らの論文の分析に着手した。 2.1950年代の中華人民共和国における経済学の可能性 胡鞍鋼の『中国政治経済史論(1949-1976)』などを参照しながら、1950~60年代の中国の経済学者がどのように経済政策の策定に関わっていったのかなどを調べている。当時の経済学者がどのように経済の現実と向き合い、どのような経済思想を有し、経済政策の動向にどのような影響を与えていたのかを明らかにすることは、本研究の今後の重要な課題となる。 3.中華人民共和国建国初期の経済学者について 1950~60年代に活動した中華人民共和国の経済学者の知的蓄積期は、主に戦間期から1940年代である。彼らの経済思想を知るには、やはり1930年前後までさかのぼって、その経済学的活動を追跡する必要がある。そのため、研究の範囲を1920年代まで拡大し、知的遍歴とその後の経済学的活動を系統的に明らかにしていきたい。従って、今後は文献収集の範囲を第二次世界大戦前にまで拡大し、1949年10月の中華人民共和国成立という政治的区切りを研究上は特別視せず、戦間期から数十年の経済思想史の流れを把握することにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1950~60年代の中国の経済学文献の収集と分析に予定以上に時間がかかっている。また、研究対象とする時代範囲を約30年さかのぼらせたことで、扱う文献が増え成果発表の構想も変更せざるを得なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の課題は「中華人民共和国成立から文化大革命までの経済思想史」であるが、今後は1920年代からの中国の経済学者の動向をも研究範囲に含めていく。そうすることで、中華人民共和国成立という政治的画期を横断する経済思想史の流れを明らかにすることに努める。 マルクス主義の中国への適用という観点を相対化し、中華人民共和国の経済思想を総体的に把握するため、日本や欧米で得られたであろう経済学的知見がどのように中国に伝播していったのかということを、まず人物と文献で整理していきたい。 その上で、1950~60年代の中華人民共和国にどのような経済思想が存在し、現実とどのようなかかわりをもっていたのかを追究していく。マルクス主義やいわゆる毛沢東思想、中国共産党の存在を相対化し、中華人民共和国における経済思想のあり方を人物を中心に明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
1950~1960年代の経済学者の言説を分析していこうとするうち、それ以前の経済学者の動向を把握していなければならないことに気づいていった。また、その過程で新たな文献を購入、複写していくよりも、まずは以前の研究で収集した文献や、図書館等で利用できる文献を十分に確認していく作業が必要となった。そのため、文献収集にかかる費用は執行が進まなかった。また、国内旅費については、2015年度に関西で関連する研究会が発足することになったため、残額を2015年度以降に回すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
第二次世界大戦以前の文献も、収集と分析の対象に加える。そのため、東洋文庫や都内大学図書館の文献複写、北京、上海等の図書館での文献複写などに前年度からの繰越金を充てる。また、関西で2015年4月に発足した関連する研究会に年数回出席するための旅費を、やはり前年度からの繰越金で捻出する。
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