研究課題/領域番号 |
26380263
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
喜多見 洋 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (30211197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ピエール・プレヴォ / 文芸共和国 / 啓蒙 / ジャン=バティスト・セー / 知的ネットワーク / 人口論 / 経済学クラブ / ジェイン・マーセット |
研究実績の概要 |
平成27年度は、前年度(平成26年度)に行ったピエール・プレヴォの経済学を中心とした研究をもとに、研究をさらに進展させた。すなわち本研究の題目である「ピエール・プレヴォの経済学と啓蒙期ヨーロッパの知的ネットワーク」について特に「啓蒙期ヨーロッパの知的ネットワーク」の側面に重点を置いて研究を進めた。その場合ポイントとなったのは、ジャン=バティスト・セーである。 彼は、19世紀前半のフランス経済学を代表する経済学者の1人であるが、この研究ではフランス革命直前から18世紀末までの「初期セー」に焦点を絞り、彼の見解について初期の論考である「出版の自由」(1789)や彼が1790年代に『デカド・フィロゾフィック』誌に掲載したいくつかの論考等をつうじて分析を進めた。それによりまず明らかになったのは、この時期のセーが啓蒙思想の影響を受けつつ、フランス革命を実際に経験しており、彼の関心が、はじめは文芸一般に向かっていたものの、それが次第に道徳に向かい、世紀末には経済の領域に収斂しようとしていたということであった。そして、経済学者セーを知的ネットワークの視点から見ると、彼が、プレヴォもそこに属していた当時のヨーロッパの知的ネットワークにおいてハブ的存在となっており、さらにこの知的ネットワーク自体が「ユグノーのネットワーク」、「ジュネーヴ人のネットワーク」等と重層的に重なりながら国境を超えてグローバルに形成されていたということも明らかになった。 以上の研究成果については、その主要な内容を本年5月に東北大学で開催される経済学史学会第80回全国大会で「啓蒙、フランス革命と初期Sayの経済思想」として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主要な対象はピエール・プレヴォの経済学であり、研究の特色は、全ヨーロッパ的規模で広がっていた当時の知的ネットワークとの関連を意識しつつ、プレヴォの経済学のこれまであまり研究されていない側面を解明する点にあった。 平成27年度の課題は、前年度(平成26年度)に主として行ったプレヴォ経済学の研究に続いて、特に「啓蒙期ヨーロッパの知的ネットワーク」についての研究を進めることにあった。この点をふまえ平成27年度の研究では、主に知的ネットワークにおけるハブ的存在としてのJ.-B.セーに注目して、分析を進めた。そしてこれにより、「ダニエル・ドゥラロッシュのようなセーとプレヴォをつなぐセーの親族の存在」や「啓蒙期ヨーロッパの知的ネットワークと重なり合うジュネーヴ人脈」等、知的ネットワークに関連したいくつかの興味深い事実を明らかにすることができた。それらの詳細については、本年5月の経済学史学会第80回全国大会で発表予定である。 以上のような進捗状況から、研究は現在までおおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成26年度に行なったプレヴォの経済学についての研究と平成27年度に行ったJ.-B.セーを中心とした知的ネットワークについての研究をふまえ、プレヴォについての文献的研究をさらに深めるとともに、セー以外の啓蒙期ヨーロッパの知的ネットワークに関する書簡、マニュスクリプト類を中心とした研究を並行して進めことにしたい。そして年度の後半にはこれらの研究の成果を整理し、さらに最終的に「ピエール・プレヴォの経済学と啓蒙期ヨーロッパの知的ネットワーク」についての研究として総合するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注した図書(洋書)の到着が遅れ、当該年度内に購入できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、すみやかに図書の発注を行う。
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