研究課題/領域番号 |
26380264
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
壽里 竜 関西大学, 経済学部, 教授 (20368195)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ヒューム / ルソー / 啓蒙思想 / エピキュリアニズム / エピクロス主義 / 反啓蒙 / 奢侈 / 社会契約 |
研究実績の概要 |
今年度は、当初の研究計画に基づき、ヒュームとルソーの思想的共通性について研究を進めた。具体的には①ヒューム黒人観へのルソーへの影響、②プライドと奢侈をめぐる両者の共通点と相違点、③ヒュームとルソーの政治思想における「一般性」概念、について論文を執筆した。特に②については、2016年3月31日から4月2日までピッツバーグで開催されたEighteenth-Century Scottish Studies Society/American Society for Eighteenth-Century Studies Joint Annual Meetingにおいて報告を行った。さらに②においては(報告には含まなかったが)、ルソーのFragments on Luxuryにおける貨幣観が、ヒュームの「貨幣について」における貨幣数量説に影響されている可能性を示唆した。①については2016年に開催されるHume Conferenceでの報告のために投稿したが、審査の結果、残念ながらリジェクトされた。②については、経済思想とそれ以外のトピックについて分けて議論すべきと考え直し、個別の論文として編集し直す予定である。今後、これらすべてについて適宜、国際学会誌への英語論文を投稿しているが、いまのところアクセプトされていない。レフェリーからのコメントおよび学会における質疑応答を踏まえてブラッシュ・アップをしつつ、投稿を続けていく。なお、2015年10月に出版された拙著の一部においてヒュームとルソーの比較を行っている(第6章におけるヒュームの大共和国論とルソーの「ポーランド統治論」との比較検討)。本書は主として2013年度に終了した科研費基盤(C)の研究課題「ヒュームの懐疑主義的啓蒙」の研究成果ではあるが、この部分は本研究課題採択後に加えたものである(謝辞において本研究課題番号に触れている)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究そのものは順調に進展しているものの、研究成果の公表に時間がかかっている。この点は、国際学会誌に査読論文として研究成果を公表しようと考えているため、やむを得ない面はある。また、リジェクトされてもレフェリーからのコメントを踏まえて書き直しをする必要があるため、ブラッシュ・アップに時間がかかっている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後もこれまでと同様、国際学会誌への投稿を進めていくが、ヒューとルソーの比較研究という問題設定そのものが従来の研究上の常識とは大きく異なるため、国際学会誌上での研究成果の公表には予想以上に時間がかかっている。この点については、各論文の問題設定、議論のプレゼンテーションにおける一層の工夫が必要と思われる。また、Istvan HontのPolitics in Commercial Societyをはじめとするルソーの政治・経済思想に関する研究書を、自身の研究に反映させていく必要がある。そのため、校閲代と書籍代が主たる支出項目となる。
|