研究実績の概要 |
本研究の目的は、混合正規回帰モデル(スイッチング回帰モデル)ならびに多変数混合正規モデルにおける、要素数を検定する統計的推測の手法を構築すること、そして、開発した手法の実際的応用可能性を、コンピュータ・シミュレーションによって検証することである。本年度は、混合正規回帰モデル(スイッチング回帰モデル)における要素数に関する新しい統計的推測手法を構築し、その漸近分布を導出した。研究成果は学術誌に掲載された。さらに、多変量混合正規モデルの要素数を統計的に検定する手法を開発するための予備的分析を行った。混合正規モデルは、その対数尤度関数が複雑な形状をしているため、通常は、Kasahara and Shimotsu (2015)で示された8次のテイラー展開を必要とする。しかしながら、多変量混合正規モデルは、パラメーターの数が多いため、その対数尤度関数に対して8次のテイラー展開を行うのは現実的ではない。本年度は、Liu and Shao (2003)による対数尤度関数の2次近似の手法を拡張し、対数尤度関数を4次のテイラー展開のみで分析を可能にする手法を確立した。
参考文献 Kasahara, H. and Shimotsu, K. (2015). Testing the Number of Components in Normal Mixture Regression Models. Journal of the American Statistical Association 110, 1632-45. Liu, X. and Shao, Y. (2003). Asymptotics for Likelihood Ratio Tests under Loss of Identifiability. Annals of Statistics 31, 807-832.
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