研究課題
確率的ヴァインコピュラの研究では、周辺モデルの選択が重要である。投資の局面分析で、投資家がよく参照する指標にVIXがある。これはS&P500オプションのモデルフリーインプライドボラティリティ(MFIV)である。原資産とVIXの2変量に対して、確率的ヴァインコピュラを適用する際に、VIXのリターンに対する適切な変動過程のモデリングが必要になる。シカゴ・オプション取引所の様々なVIXの系列を見ると、短期のVIXにはジャンプがあり、期間構造全体の変化は単純なパラレル・シフトではないことが観察される。そのため、VIXのモデルとしてジャンプ拡散(JD)過程を適用する研究を行った。ジャンプの強度は定数ではなく変動し、かつ、地震波のような自己励起的変動過程(Hawkes)に拡散項を更に付けて一般化した確率過程によりモデル化した。VIXはvariance swap rateと見做せるため、その評価式を自己励起型JD過程に基づき導出し、Hamiltonian Monte-Carlo法に基づくBayes推定で各パラメータを求める方法を開発した。その結果、従来のジャンプのない確率ボラティリティ(SV)モデルに比べて、適合度が改善されることを見出した。更に、リスクの市場価格の推定も併せて行い、各リスクの特性を明らかにした。自己励起型JD過程は、確率的ヴァインコピュラの依存構造の構造変化を記述することができる確率過程の一つと考えられる。最適資産配分問題に関して、リスク資産間に複数の共和分依存関係があり、かつ、外生的要因の影響を受ける場合の共和分投資の研究を行った。確率微分方程式で記述された連続時間の誤差修正モデルに外生的要因変数を入れたモデルで、HJB方程式を解き、最適な投資比率を導いた。実務で、外生的要因のもたらすリスク分析が可能な共和分投資を実現する手法を提供するものと期待される。
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Proceedings of the 45-th JAFEE meeting
巻: Summer ページ: pp.29-38
巻: Summer ページ: pp.13-24
Proceedings of the 46-th JAFEE meeting
巻: Winter ページ: pp.165-176