研究課題/領域番号 |
26380271
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
瀧本 太郎 九州大学, 経済学研究院, 教授 (70403996)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 因果性 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,非定常・非線形モデリングに基づくマクロ経済学の実証分析を行う際に有益な新しい手法の開発,統一的に分析できかつ容易に実行可能なアルゴリズムの提供,マクロ経済政策分析への応用を目的とする.その中で,平成28年度は前年度に引き続き,定常VARMAモデルに対する因果性測度の推定・検定アルゴリズムの開発を行い,偏因果性測度の検定方法として提案しているモンテカルロ・ワルド統計量の小標本特性の分析と改良を,主に3次元VAR(2)モデルと3次元VARMA(1,1)モデルに基づき検討した.定常VARMAモデルの推定にはWhittle尤度に基づく三段階の推定手法を用いているが,第二段階で得られたパラメータの推定値と第三段階で得られたパラメータの推定値のそれぞれに基づいて因果性測度を推計し,その改善幅を比較した.サンプルサイズを増やすと真の値に近づくという,漸近理論と一致する結果を得ている.また,アメリカのマクロデータを用いた実証分析を行い,長短金利差と経済成長率の因果関係について,①第三変数の有無やその選択が検出された因果関係に影響を与えること,②インフレーションとマネーサプライを第三変数とすると先行研究と整合的な結果が得られること,③1980年代中頃を境に検出される因果関係が異なること,などを明らかにした. その他,日本の財政構造について,Threshold共和分モデルに基づいて歳入と歳出の各項目ごとの因果分析を行い,選挙データとの関係が一部有意であることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
偏因果性測度の検定統計量について,大規模なシミュレーションによりその小標本特性が明らかにし,またアメリカのマクロデータに基づく応用例についても検討が進んでいるため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,大規模なシミュレーションにより,検定統計量の小標本特性を明らかにするとともに,非定常モデルへの拡張を検討する.また,実証分析については,アメリカのデータに加え日本についても取り上げる.その際に頑健な結果を得るため,特に第三変数について複数の可能性を考慮し最終的な結論を得ることとする.適宜成果が出次第取りまとめ,学会や学術雑誌にて報告する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度秋にドイツで開催予定の研究集会に参加する予定のため,旅費として次年度に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
2017年秋にドイツで開催予定の研究集会に参加予定.
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