研究実績の概要 |
本研究課題は,非定常・非線形モデリングに基づくマクロ経済学の実証分析を行う際に有益な新しい手法の開発,統一的に分析できかつ容易に実行可能なアルゴリズムの提供,マクロ経済政策分析への応用を目的とする.その中で,平成29年度は,小標本における推定の改善を目的として,三段階推定の第三段階における最適化のアルゴリズムを変更し,その影響をモンテカルロシミュレーションにより再検討した.また,この変更されたアルゴリズムを用いてアメリカの金融データを用いた実証分析を行い,その成果の一部は著書Hosoya, Oya, Takimoto, and Kinoshita (2017)Characterizing Interdependencies of Multiple Time Series: Theory and Applications, Springerの第4章にまとめられている. また,アメリカの実証分析については,経済成長率と長短金利差の分析に加え,経済成長率とマネーサプライ,経済成長率とインフレ率の間の因果性分析についても分析を行っている.多くの変数の組み合わせによる実証分析を行っていると,シミュレーション分析では見られなかった問題が生じ,特に,三段階推定の第二段階で選択されたモデルによっては,偏因果測度の推定に必要となる正準分解がうまく計算できないケースが生じた.この問題に対応するべくモデル選択の基準について検討を行った.
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