本研究の目的は、個票パネルデータに基づく新たな動学的離散選択モデルの推定・検定方法の提案である。さらにこれらの手法を、就業をはじめとする女性のライフコース上の意思決定メカニズムの実証分析に応用する。 主な成果の概要は、次の通りである。まず、女性の就業状態が過去の就業状態に依存する、パネル多項ロジットモデルを日本とオーストラリアのデータに適用し、比較分析を行った。その結果、いずれの国においても、観測できない個人属性が就業状態の時間を通じた依存性で重要な役割を果たすことがわかった。また、パネルデータ・クロスセクションデータの欠損に基づくバイアスを修正する統計手法について、理論的な考察を行った。
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