研究課題
本研究課題における主たる研究目的は、ボラティリティ、構造変化、バブル、非正規分布、因果序列などのキーワードで示される計量経済学的理論と応用研究である。業績一覧に示されている通り研究期間中にこれらの分野について専門雑誌にいくつかの論文を掲載することができた。最終年度における特徴的研究成果としては:1)研究代表者前川、分担者の片山、永田らの行った、非ガウス型SVARモデルに関する理論と応用に関する研究。経済変数間の因果序列を独立成分分析(Independent Component Analysis;ICA)を応用することによって変数間の因果序列を検出することが可能になるが、その際の推定・検定に関していくつかの成果を上げた。その結果を用いてわが国の金融の量的緩和政策の波及経路分析をおこなった。実証的を通してICAは経済時系列分析に一定の有効性を有するとの確信を得た。これらの研究は国内外の学会やセミナーで報告され参加者の興味を引き付けた。今後専門雑誌に掲載していく予定である。2)バブルのモデル化の研究。分担者片山は、現実のバブルを描写しうるユニークなモデルを提示した。また分担者久松はバブルの発生と崩壊を、非定常時系列モデルにおけるnear unit rootという概念を用いて表すことを試みた。これらの研究は未完成であるが将来追及する価値のある研究である。3)分担者森本を中心とする計量ファイナンス分野におけるボラティリティモデルの研究。コンピュータによる計算統計学的手法を駆使し、高頻度データにおけるボラティリティに関する性質を明らかにし、そこで得られた結果を実証分析に応用した。4)分担者得津と河合はファイナンスの実データに基づく実証研究を行い、株価の高頻度データの挙動を分析する中でファイナンスデータので本研究課題に共通に必要なデータベースを構築し、共同研究に有効に活用された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)
広島経済大学創立50周年記念論文集
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巻: 46 ページ: 1102-1112
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巻: 17 ページ: 41-60
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巻: 43 ページ: 1906-1927
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巻: 31 ページ: 29-40
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