研究課題/領域番号 |
26380290
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
伊藤 由希子 津田塾大学, 総合政策学部, 准教授 (30439757)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | GVCs / 親会社 / 海外子会社 / 企業活動基本調査 / 海外事業活動基本調査 |
研究実績の概要 |
国際的なネットワーク(貿易・直接投資・および統計上数値化が難しい取引関係やライセンス関係)がもたらす財・サービスの付加価値の大きさ(グローバル・バリュー・チェーン)について引続き、統計調査を進めた。成果として、単著論文“Has the offshore service network been expanded by Japanese Firms?(日本企業によるサービスネットワークは拡大したのか)をまとめた(経済産業研究所 Discussion Paper Series E-102)。論文では、企業活動基本調査と海外事業活動基本調査をマッチングしたデータを用いて、1996年から2015年までの間の海外活動(親会社・海外子会社間の取引内容)の変化を、国別と部門別(サービス業・製造業)で分類した。親会社と海外子会社間の取引額を、製造業(親会社・子会社とも製造業の企業間取引)、サービス業(親会社・子会社ともサービス業の企業間取引)、製造業に関連したサービス(親会社・子会社の部門が異なる企業間取引)に分類し、国別にその相対的な取引額の変化を求めた。3分類の中では、部門が製造業・サービス業と異なる企業間取引の拡大が最も著しく、特に先進国との取引における主要な活動であることを明示した。この様な観察的実証研究に加え、取引の現状が、(1)国際的な比較優位、(2)規模の経済性、(3)国内のレント、などをどのように反映しているのか、考察的実証研究を進める予定である。ただし、考察的実証研究にあたっては、さらなる関連情報の収集が必要であり、進捗が遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産後休暇からの復職後の職務調整、転職に伴う研究室環境の引越と整備など、物理的に研究を中断せざるを得ない時期が存在した。 また、観察的な研究に必要な統計資料の収集と研究は予定通りに進められたが、さらなる考察を行うには、更新された最新情報や、これまで取得していなかった統計の取得が必要となり、検討に時間を要した。 以上2点の理由から進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
日本の企業活動に関連するグローバル・バリュー・チェーン取引の現状が、(1)国際的な比較優位、(2)規模の経済性、(3)国内のレント、などをどのように反映しているのか、考察的実証研究を進める予定である。 但し、国内の市場と海外の市場を比較考察する統一的な尺度が必要など、考察に向けた具体的な統計収集の課題がある。これらを丁寧に作業しつつ、研究の完成度を高めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は完成した論文草稿をもとに、学会発表(招待)を行い、Web上に公表する作業を中心に行った。これらの作業に時間を要したものの、研究者の単著論文の作業、および招待講演であったため、特段の費用は発生しなかった。今後は、論文の査読付学術誌への投稿を行う。その際には、英文校正・投稿等の費用が発生しうる。また、分析内容の考察を深めるため、新たな統計情報の購入や整理を進める。その際に、物品・謝金などの費用が生じる予定である。
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