国際的なネットワーク(貿易・直接投資・および統計上数値化が難しい取引関係やライセンス関係)がもたらす財・サービスの付加価値の大きさ(グローバル・バリュー・チェーン)について各国の統計調査を進め、各国の情報の集計手法も含めて精査を行った。また、統計収集に加え、観察的実証研究を引き続き行った。具体的には2017年のDiscussion Paperの改訂・投稿作業を進めた。単著論文“Has the offshore service network been expanded by Japanese Firms?(邦題:日本企業によるサービスネットワークは拡大したのか? 経済産業研究所 Discussion Paper Series E-102)では、企業活動基本調査と海外事業活動基本調査をマッチングしたデータを用いて、1996年から2015年までの間の海外活動(親会社・海外子会社間の取引内容)の変化を、国別と部門別(サービス業・製造業)で分類した。親会社と海外子会社間の取引額を、製造業(親会社・子会社とも製造業の企業間取引)、サービス業(親会社・子会社ともサービス業の企業間取引)、製造業に関連したサービス(親会社・子会社の部門が異なる企業間取引)に分類し、国別にその相対的な取引額の変化を求めた。より考察的な内容を盛り込むにあたり、特に、取引の現状が、(1)国際的な比較優位、(2)規模の経済性、(3)国内のレント、などをどのように反映しているのか、先行研究を踏まえた考察をすすめた。
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