研究課題/領域番号 |
26380293
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
久保 彰宏 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (90554882)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グローバル金融危機 / 外国為替介入 / 金融政策 / 新しい開放マクロ経済学 |
研究実績の概要 |
2008年に発生したグローバル金融危機は国際金融における新たな論争を生み出した。とりわけ、外貨準備と為替レートもしくは国際流動性との関係は国際ジャーナルでも議論が続いたがテーマの一つである。アジア諸国は先のアジア通貨危機を教訓にグローバル金融危機以前に大量の外貨準備を計上していたが、実際に今回の自国通過の暴落に十分な対応がなされたのかどうかについて未だ明確な答えはでていない。本研究では、近年マクロ経済理論ではスタンダードになりつつある「新しい解放マクロ経済学(NOEM)」に基づいた実証研究を試みた。 より具体的には、本年度前半は、前年度の分析結果を取りまとめ、本研究の実証分析として主要な位置づけとなるシミュレーション結果の検証を中心とした論文を執筆し、幾度の修正を経て、海外査読雑誌へ投稿し、現在審査中である。さらに、グローバル金融危機以前・中・以後の三つの期間を比較検討した。結果を論文にまとめ、国内の研究会や国際学会で報告を行い、海外査読雑誌への投稿準備に入った。また、本研究の一部は科学研究費助成事業・若手研究(B):アジアの中央銀行における国際的マクロ経済ショックへの対応と為替介入(平成23年度~25年度)による研究成果の一部を拡張するものであったため、今回の研究成果による貢献を加え加筆修正した論文を海外査読雑誌へ投稿した。さらに、近年、国際金融の分野において議論される金利平価説の不成立について拡張研究を実施し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において、本年度前半はまず、前年度の中心的結果を検証した論文執筆を行うことであったが、十分に達成されている。なお、本年度後半は当該金融危機からの影響と回復についての分析を行う予定であったため、新たなシミュレーションの結果を危機以前・中・以後の三つの期間を比較検討することで、政策運営の変化を明らかにした。この分析を取りまとめた論文も執筆し、国際学会で報告していることから、計画目標は概ね達成されている。一方、当初予定していた政策運営者からのヒアリングは未だ十分でないが、分析対象国を専門とする研究者との意見交換から政策インプリケーションを導くことができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、次年度の国際学会での報告機会を見つけ、論文の改定を続けながら、海外査読雑誌へ投稿していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校閲費用に大幅なディスカウントが発生したため、当初予定していた金額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であるが、分析が継続しているため、シミュレーション実験に必要となる物品の購入に使用予定である。
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