研究課題/領域番号 |
26380298
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
水谷 文俊 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60263365)
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研究分担者 |
浦西 秀司 大阪市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80362820)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アンバンドリング / 上下分離 / 鉄道事業 / 水平分離 / 費用関数 |
研究実績の概要 |
本研究は、「アンバンドリングタイプ及び競争を考慮した費用関数及び需要関数の推定」を目指しており、実証的な方法で研究を遂行するものである。研究のステップは、以下の4つの段階に分けて行う予定であった。すなわち、①先行研究結果の整理、②データ収集及びデータ入力、③パイロット計量モデルの推定及びデータの補完、④計量モデルの構築・推定及び政策分析、である。平成26年度は、主として①から②、平成27年度で③と④の一部を、最終の平成28年度において④の残りを行う予定であった。今回の研究課題は、データとして日本のみならずヨーロッパのデータも含む国際比較研究となっている。 本年度は、このような計画の中で費用関数の推定を先行させてきた。というのも費用関数の推定に関してはある程度の研究蓄積があり、想定以上のペースで進めることができたためである。その結果、費用関数においては、従来になかったアンバンドリングの変数の中で持ち株会社型の上下分離のタイプ、そして、競争の効果、貨物輸送の比率の影響などをモデルの中に組み込むことができた。これらの点がモデルにおける新規性である。 そして、本年度得られた分析結果の主な点は、以下のようなものである。 ①持ち株会社型の分離は、上下一体型と比べると費用をの削減効果は認められるがそれほど大きなものではない。このタイプの分離の効果は、列車密度の大きさによって変化するものではない。②上下分離によって費用は削減されるが、列車密度が大きくなるにつれて削減効果が減じられ、やがては費用増大に繋がることになる。③貨物輸送の割合が増大するにつれて、費用が増加していく。④競争による費用削減効果はある程度認められるが、それほど大きな大きなものとはなっていない。この点に関しては、今後の課題であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
費用関数に関しては、予定を大幅に上回る予定で進めることができた。一方で、需要関数に関しては、文献調査を終えるところまで進めることができたが、予定よりも遅れていると考えている。両方の進展の速度を総合的に判断するとおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、需要関数の推定に集中して研究を遂行したいと考えている。本年度前半でパイロットモデルの構築を目指し、後半部分でデータの補完を行い、最終的な需要関数の構築を目指したいと考えている。特に、アンバンドリング変数をいかに需要関数を反映させるかが鍵になってくる。最低限「上下分離型」と「上下一体型」の差異が需要にどう影響するのか、あるいは関係しないのかを明らかにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度においては、校費を原資とする研究費が比較的潤沢であったことと、年度途中に開催される予定であった国際学会が中止になったこと、年度末に予定していた海外出張が延期になったこと、の3つの要因が重なったために上記の結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
海外での学会発表の回数を増やすことにより、予定通り研究費の消化に努める。
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