研究課題/領域番号 |
26380299
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
駿河 輝和 神戸大学, その他の研究科, 教授 (90112002)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 契約栽培 / 商品作物 / 中国商人 / 灌漑設備 |
研究実績の概要 |
平成27年5月にウドムサイ県の調査を行いナーモー郡のマイナータオ村、ナサバン村、クアンカム村や大規模なバナナプランテーションを訪れて調査した。この地域ではタバコの契約栽培のウエイトが高かったが、タバコに集中して生産している村とタバコ生産のウエイトを減らして別の作物を増やしている村があった。商業活動を行うグループが生じていることも分かった。この3つの村に関するこれまでの調査結果を「ラオス北部における契約栽培の地方生活への影響」という論文にした。2008年から2010年の間に従来の作物生産から契約栽培による新しい作物へと重点が移動したことを明確に示した。またタバコの栽培を行っているかどうかが現金収入の差を決める重要な要因であることを実証的に示した。契約栽培による資金により新しい経済活動が始まっていることなどメリットを上げるとともに問題点も指摘した。今後の解決すべき問題に関してもあげている。平成28年2月にポンサリー県とウドムサイ県のいくつかの村を訪問して調査を行った。契約栽培によるロングビーンズの生産と中国企業による収集倉庫の調査も行った。ロングビーンズに関してはいくつかの企業が来て契約栽培をしていて、ラオス農民側のメリットも大きいようにみえた。各村の灌漑設備の様子も見て回ったが、灌漑が整うと契約栽培を裏作で行えて、収入が増えていることがうかがえた。地方の灌漑設備は1990年代にタイの技術を導入して行われている。しかし、タイの川は流れが緩やかであるため、流れの急なタイ方式の灌漑はラオスには適していなかった。したがって、ラオスの川は流れが速いために石や大木が流れ込み灌漑設備が破壊されたり、砂で埋まってしまうなどの問題点があった。その後、NGOなどが改修を行っているところもあるが、専門的な改修は行われなかった。現在ADBに資金により政府が改修に努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長く実施してきたウドムサイ県のナーモー郡の調査から、ルアンナムター県、ポンサリー県へと調査地域を拡大でき、契約栽培で主に生産している商品作物が地域より異なっていること、村により技術の獲得状況が異なることなどを確認することができた。また、ナーモー郡の調査に関して、論文にまとめて雑誌に掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
中国の商人や企業が契約栽培に幾つか進出している場合でも、商品作物の棲み分けや価格の統一性が見られる。したがって、中国側の商品流通や作物の購入組織についての情報が必要で、中国側の文献を集めて分析する必要があり、そのことを実行する予定である。また、ラオスに関する契約栽培の研究を調べ、商品作物による違いや、地域的な違いにより我々の研究とどのように違うのかを比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内海外調査資金が得られたため、学内資金でラオス調査ができた。従っって、ラオスでの海外調査の資金が節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
ラオスへの海外出張資金として使用を計画している。
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