研究課題
LCCによるハイブリッド戦略の内,特に,プライマリー空港(混雑空港)への乗り入れの影響について研究を進め,その中で,イギリスの空港を対象にLCCの就航が空港の非航空系収入に与える影響という側面から,大阪商業大学の横見宗樹准教授,英国リーズ大学交通研究所のPhill Wheat上級研究員と共同研究を行った.空港の収入は,着陸料や駐機料といった航空系収入と小売店・レストラン・駐車場等の非航空系収入に分けられ,欧州の多くの空港では後者が半分以上を占めている.研究の結果,LCCが1便増加することによる空港の非航空系の増収(限界収入)は,FSC1便の増加による増収分の2/3程度にとどまることが分かった.関西空港でも一定の条件を満たせば,就航1年目は着陸料が実質無料となるように,多くの空港では,空港使用料を大きく割引してLCCを誘致し,代わりに非航空系の収入で運営費を賄おうとするケースが見られるが,今回の分析結果から,少なくともすでに混雑しているプライマリー空港は,FSCの代わりにLCCを就航させるインセンティブを持たないことが明らかとなった.この成果は,2015年6月に開催された日本交通学会関西部会(日本海運経済学会関西部会と共催)で「空港の非航空系収入とLCCの便数シェアの関係における実証分析:イギリスの空港を対象として」と題して,さらには,7月にシンガポール国立大学において開催された第19回世界航空研究学会と“The Impact of LCC on Non-Aeronautical Revenues in Airport: An Empirical Study of UK Airports”題して共同報告された.
3: やや遅れている
膨大なデータの整理に時間を予定以上の要しているため.
混雑空港へのLCCの就航による影響について,非航空系収入への影響に加え,運賃水準への影響について研究を進めている.具体的には,羽田空港におけるLCC4社(SKY,ADO,SNA,SFJ)に対する優先的な発着枠配分が大手航空会社も含めた羽田発着便の運賃水準に与える影響,さらにはLCCと大手航空会社のコードシェアリングが運賃水準に与える影響を実証的に分析する.そして,研究成果を第20回世界航空研究学会で報告する予定である.
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Proceedings in 19th World Conference of Air Transport Research Society
巻: paper No.208 ページ: 1-20