研究課題/領域番号 |
26380306
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
三上 和彦 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (30229653)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非営利組織 / 協同組合 |
研究実績の概要 |
本研究課題のテーマである「社会的企業」は、非営利組織と協同組合に大別できる。以下、この2つに分けて、これまでの研究実績を述べる。 非営利組織については、私はこれまで、「そもそもなぜ、利潤動機を原動力とする資本主義経済に、非営利組織が存在するのか」という原理的問題に取り組んできた。既存研究の整理と現実の非営利組織を観察することから糸口を探り始め、試行錯誤を繰り返す中、具体的な成果が得られないまま、長い時間が経過した。ミクロ経済学を用いて非営利組織を考察することの難しさは、まさに非営利組織の定義的特徴である「剰余の不分配制約」にある。つまり、目的関数の最大化を常套手段とするミクロ経済学において、剰余の不分配制約が課せられている非営利組織の行動原理を、どのように、恣意的ではない形で提示すればいいのかが分からないのである。私はこの障壁に対し、目的関数の最大化ではなく、効率性原理の考え方を用いて、非営利組織の存在理由について考察していくという方法を選んだ。この結果を論文にまとめ、英文(海外)の査読付き専門誌に投稿していたところ、このほど比較的前向きと思われるレポートが届き、査読者より改訂の指示が出た。現在、この指示に従って改訂作業を行っているところである。 協同組合については、協同組合の持分市場に関する考察を行ってきた。昨年度(2014年度)中に、消費者協同組合の持分市場を通した資金調達に関する論文が、英文(海外)の査読付き専門誌に刊行された。現在は、この研究内容をより一般化し、生産者協同組合および消費者協同組合の持分市場を株式市場と比較し、その特徴や役割について考察するという研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非営利組織の研究については、ようやく論文がまとまりつつあり、投稿先の専門誌においても査読過程が進んでいることから、内々には進展しているという気持ちはある。しかし、まだ掲載が決定したわけではなく、何かを達成したといえる段階ではない。 協同組合の研究については、現在の中心的な課題に据えている「持分市場」に関する論文が完成・刊行されたことから、一定の成果は上がっているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
非営利組織の研究については、現在改訂中の論文を刊行につなげられるよう、最後の詰めを丁寧に行っていくことに尽きる。 協同組合の研究については、上で述べた、協同組合の持分市場を株式市場と比較し、その特徴や役割について考察していく研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.北欧における海外現地調査の下準備に時間がかかり、次年度に実行する予定となった。 2.パーソナル・コンピューターの新調を一年遅らせ、次年度に行うことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
1.ノルウェー現地調査 約40万円 2.パーソナル・コンピューター 約15万円
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