研究課題
本研究は、増大する医療費といった問題を内在する日本の医療・健康・介護の分野において、ICT(情報通信技術)を活用することにより、より健康で活力にあふれるウェルネスな地域社会を構築するための基盤を確立することにある。本年度の研究においては以下の3つの観点から研究を行った。1. 地域医療情報ネットワークの実地調査、今後の発展の方向性、および同ネットワークの構築を促進させるためのインセンティブ金額の導出、2. 過疎地等での健康増進に必要な遠隔医療の経済効果の推定、3. 医療分野でのイノベーションの研究、これらを中心に行った。1. 地域の医療機関をICTにより結びつけ、患者情報を共有する地域医療情報ネットワークは地域包括医療の情報基盤として、在宅医療の推進、地域での医療資源の効率的運用、医療費の削減等で大きな期待がもたれている。本年度は国内と海外での運用事例の調査を行った。この分野での先進国である米国や英国の地域医療情報ネットワークと比較し、差異は何か、また課題や今後の方向性について分析を加えた。2. 本年度の研究では、福島県西会津町の在宅健康管理システムや、高知県の双方向IT通信を備えた救急車に関して、その経済効果を推計した。前者では約10カ年間に渡る医療費や通院日数の削減効果の研究を行い、後者では住民に対する支払意思額を推計し、研究成果を公刊・発表した。3.これまでのITを活用した遠隔医療を研究していると、日本の医療を大きく転換する潜在力をもつものの、その普及は遅々として進まない理由として、それが医療分野でのイノベーションをもたらすということが認識されていないことが挙げられる。イノベーションが盛行しているビジネス分野での成功要因を研究し、それを医療分野に適用できないかを研究した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 11件)
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