工業団地の生み出す外部経済は生産工程の内部経済と関連して、工業団地の立地と生産構成に影響する。ここでは外部経済を2分類した。1つは工業団地に立地する各工場が雇用する総雇用量に依存し、生産工程の可変費に影響するもの。他の1つは団地内の各工場で生産される全生産量に依存する経済で、工場の固定費に影響するものである。そして、工業団地は都市の有する都市圏内に開設されるものとし、都市から提供される都市化の経済が工業団地での内部・外部経済に作用を与えるとし、3つの異なる状況を想定して分析を進展させた。ここでは次のような成果が得られた。(1)大都市圏における工業団地は小規模だが、内部・外部経済の働きは大きい。この場合、各工場の利潤は低めになり、工業団地全体の利潤も高くない。(2)小規模都市の都市圏においては工業団地は大規模になり、内部・外部経済の働きは低い。ここでの場合には個別の各工場の利潤は比較的低いが、工業団地全体の利潤はかなり高くなる。(3)中規模都市の都市圏においての工業団地の規模は上記の2つの都市圏の工業団地の中間の値を有する。しかし、個別工場の利潤は最大になる傾向がある。(4)工業団地への工場立地を決定する経済的主体は企業であるので、工業団地は中規模都市の都市圏に定まる傾向を持つと思われる。しかしながら、工業団地の開発者が民間の企業であり、その経済力が突出している場合には、多くの工業団地は小規模都市の周辺に開発される可能が高いと考えられる。(5)都市圏内では都市の経済が提供される。都市の行政が都市化の経済の強化の一環として運賃率を低下させる輸送機関の整備を図る場合、その政策は各工場の利潤を上昇させない場合がある。これは内部・外部経済の相互作用により工業団地内における生産活動構成が変化し、すべての工場にプラスの影響を与えないからである。
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