研究課題
本研究課題の目的は、急増する自由貿易協定(Free Trade Agreement; FTA)に関する今日的な特徴(殆どが2国間でのFTA・非対称的な国の間でのFTAの増加)を踏まえ、非対称的な2国間でのFTAの形成が、世界全体の貿易自由化に寄与するかを理論的に検討することである。平成28年度は、これまでの研究成果に基づきながら、主として競争形態の違いが2国間FTAの形成を通じた貿易自由化にどのような影響を与えるかを3国3市場モデルを用いて検討し、次のような結論を得た。1.企業が各国市場でクールノー競争を行っている状況に比して、企業が各国市場においてシュタッケルベルク競争を行っている場合、2国間のFTAの実現可能性、および世界全体の自由貿易(Multilateral Free Trade; MFT)の実現可能性は低下する。2.クールノー競争が行われている場合と同様に、シュタッケルベルク競争が行われている場合においても、各国の市場規模が異なるとき、2国間FTAが重層的に形成される場合(Overlapping FTAs)にはMFTは実現しうるが、既存のFTAに新規加盟国を加える場合(Expansion of FTA)にはMFTは実現しない。3.各国の市場規模が同じ場合、競争形態にかかわらず、Overlapping FTAsではMFTは実現せず、Expansion of FTAの場合のみMFTが実現する。また、2輸出国と1輸入国からなる3国モデルを用いて、FTAの形成が各国企業の技術選択(費用削減的研究開発投資活動)に与える影響も検討した。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Regional Free Trade Areas and Strategic Trade Policies (eds. by T. Ohkawa, M. Tawada, M. Okamura, and R. Nomura), Springer
巻: - ページ: 3-20
巻: - ページ: 21-38
巻: - ページ: 57-68
巻: - ページ: 119-135