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2014 年度 実施状況報告書

インド電力セクター改革の政治経済学的分析

研究課題

研究課題/領域番号 26380319
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

福味 敦  兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (20379465)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードインド / 電力改革 / インフラ
研究実績の概要

本研究はインド電力セクターがなぜ現在の苦境に陥ったのか、そして90 年代に開始された改革がなぜ成果をあげないのか、インド特有の政治的、社会的な背景に焦点を当てながら、実証的に明らかにすることを目的としている。研究を遂行する上で柱と成るのは、(1)電力部門改革の促進・阻害要因に関する実証研究、(2) 電力部門改革に対する農家の意識調査、以上ふたつの課題であるが、今年度は主に(1)に注力する形で研究を行った。具体的な内容は大きく以下の二点に整理される。

インド各州の電力改革の現状把握と定量的評価:各州配電会社の経営指標等を収集の上で、整理、ダイアグラム化することで特徴をつかみ、いくつかのグループに分類することに成功した。2007年と2011年の指標を比較することで、改革への取り組み姿勢を評価したところ、大きくは、改革に積極的な工業州(グジャラート、マハラシュトラ、デリー)と社会政策的な意味で赤字経営をあえて行っている南部各州(タミルナードゥ、アンドラプラデシュ、カルナタカ)と農業州(パンジャブ)、どうにもならない貧困州(ビハール、ウッタルプラデシュ)等に分類することができた。

電力事業のステークホルダーへのインタビュー:グジャラート州、カルナタカ州、テランガナ州、アンドラプラデシュ州、タミルナードゥ州、デリーなどで発電会社(民間、中央政府系)、配電会社(州政府系)、電力規制委員会、州政府などを訪問、電力改革に関するインタビューを行った。改革に積極的なグジャラート州などにおいては、そのオフィスなどにおいても実際に活気がみられる一方で、南部の諸州においては、そうした躍動感が感じられない印象を持った。とくに南部では配電会社の赤字経営を社会政策として捉える雰囲気が強いことを実感した。こうしたインタビューの結果は、定量的な研究を補う形で有効であるといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の柱となる二つの課題のうち、 (1)電力部門改革の促進・阻害要因に関する実証研究、については、前述の通り、定量的な評価を行った上、複数のステークホルダーへのインタビューを通じて、定性的な面からの検討も進めている。またこうした研究の結果は、インド政治、国際関係などの研究者との合同研究会において、年度内に三度の研究報告を行っており、多くのコメントに依拠しつつ改訂を続けている。以上のことから、第一の研究課題については、一定の進捗がみられたといえる。一方、もう一つの柱となる(2) 電力部門改革に対する農家の意識調査、については必ずしも予定通りに進めることができていない。その理由としては、年度末に予定していた、農村調査のカウンターパートとの打ち合わせが、先方の都合により不可能となったことが挙げられる。

今後の研究の推進方策

今年度は本プロジェクトの一つ目の山場となることが予想される。すなわち、(1)電力部門改革の促進・阻害要因に関する実証研究、については内外の学会、研究会での報告を予定している他、年度内に内外のジャーナルへの投稿を行う予定である。また(2) 電力部門改革に対する農家の意識調査、については計画にある予備調査を、年度内に実施する。昨年度行えなかった打ち合わせを夏期休暇中に済ませ、年度内に予備調査に着手する。この作業を通じて、調査方法、サンプリング、調査票を検討し、来年度の本調査に備える予定である。得られた一次的な結果についてはワーキングペーパーとしてまとめた上で、内外で研究報告を行い、改善を続ける。

次年度使用額が生じた理由

年度末の出張に備えてある程度の旅費を残していたが、予定より経費が少なく済んだため。

次年度使用額の使用計画

全額、新年度の旅費に追加する予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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