研究課題/領域番号 |
26380323
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研究機関 | 二松學舍大學 |
研究代表者 |
咲川 可央子 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 講師 (60634350)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際経済学 / 一物一価の法則 / 市場統合 / メキシコ / 価格原データ / パネル・データ / 構造変化 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、「メキシコ一国内35都市間の価格均一化についての実証分析」をテーマに、平成26年度に実施した「1.国際経済学の理論的進展のフォロー」「2.既存研究のサーベイ」「3.データの整備」「5.現地調査と海外の専門家との意見交換」を踏まえ、「4.計量分析」「6.国内の専門家との意見交換」「7.実証分析の結果を踏まえた理論的考察」「8.論文の作成と発表」を行った。 「4.計量分析」については、当初計画していた分析を拡張した。既存の一物一価の法則についての実証的研究は、単位根検定及び共和分検定を用いることにより、相対的な一物一価を検証する研究が多い。それに対し、本研究では、平成26年度の研究を踏まえ、当初計画になかった分散分解の手法を加えて分析した。これにより、相対的な一物一価の検証のみならず、都市間における絶対的な価格差についても分析が可能となった。また、一物一価が成立するか否かのみならず、時間を通じてどのような要因が価格差に影響を与えているかを検証することが可能となった。 「6.国内の専門家との意見交換」については、計量分析や時系列計量分析を専門とする研究者との意見交換を数回にわたり行った。また、途中経過として兼松セミナーで報告した際に、セミナーに参加した研究者から、その後の論文作成につながる有益なコメントを受けた。 「7.実証分析の結果を踏まえた理論的考察」を行った上で、「8.論文の作成と発表」を実施した。日本国際経済学会全国大会における発表では、コメンテーターから有益なコメントを受け、さらなる理論的考察を加え、論文を拡張する必要を感じた。こうした専門家からの意見を踏まえ、現在、投稿に向けて論文の仕上げを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一物一価の法則についての既存の実証研究で用いられる単位根検定や共和分検定だけでなく、分散分解を行うことができたのは、この分野の研究に対する新たな貢献となり得ると考えられる。他方、日本国際経済学会で指摘された点、すなわち、「マクロ経済の安定化」と「価格の均一化」の関係についての理論的考察や、「北米自由貿易協定(NAFTA)」と「マクロ経済の安定化」のどちらがどの程度「価格の均一化」に影響を及ぼしたかについて識別することが、課題として残っている。この点については、別稿において取り組む必要がある。ただし、研究の大まかな道筋はついており、引き続き速やかに研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、分析結果を論文として完成させる予定である。まずは、平成27年度に着手した論文を日本語で仕上げる。さらに、昨年度指摘された「マクロ経済の安定化」と「北米自由貿易協定(NAFTA)」の「価格の均一化」に対する影響を識別化できるように分析を拡張させ、英語で論文を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「次年度使用額(B-A)」は大きな額ではない。外国旅費を予定したが、平成27年度は国内の専門家との意見交換を中心に行ったため、平成28年度に繰り越された。
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次年度使用額の使用計画 |
請求した助成金に不足が生じた場合に随時使用する計画である。
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