本研究の結果、主に次の2点が解明できた。(1)アメリカ経済は、緊急対策による厳しい財政制約のもと、異例の連銀量的緩和(QE1~3)が機能不全に陥った民間金融部門に替わって「グローバル成長連関」を基本で維持し、緩慢な回復軌道をたどった。危機後8年を経て、経済成長率や失業率、企業収益、自動車販売台数、株価など、多くの経済指標が金融危機以前の水準をほぼ回復してきているが、(2)中期的に見ると、「国内成長連関」の再構築と「グローバル成長連関」の維持という大きな「ジレンマ」を内包し、2016年大統領選挙動向にもそれが大きく反映された。当選したトランプ大統領の経済諸政策も相互に矛盾する性格となっている。
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