景気動向を先読みするための先行指標はこれまでも数多く作成されてきた。日本政府においても、「景気動向指数」(内閣府)において先行指数が毎月算出・公表されているが、先行性は必ずしも安定的ではないため、先行指標のパフォーマンスも不安定なものとなっている。一方、毎月の経済データの動向を観察し、経済成長率を中心に先行きを予測する民間調査機関のエコノミスト(フォーキャスター)は日本国内だけでも40人強存在する。こうしたフォーキャスターの予測結果は、従来、年度単位で集計されていたが、2004年から始まった「ESPフォーキャスト調査」によって月次で予測結果が集計されるようになった。本研究はこうした月次集計の結果を、景気の早期警戒指標のパフォーマンスの改善に生かすことを狙いとしている。 4年目の2017年度は、民間予測集計におけるばらつき(disagreement)と予測の精度の関係、およびばらつきを予測に生かすという2種類のdiscussion paperを執筆し、前者については学術雑誌へ投稿して審査待ちである。
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