2016年度は研究課題の最終年度として2014年度からの研究成果の公表に努めた。具体的には、2016年6月にタイ・バンコクで開催された「The SIBR Conference on Interdisciplinary Business and Economics Research」に参加し、マイクロファイナンスを通じた金融包摂の貧困削減効果について報告を行った(なお、このカンファレンスでは、報告者としてだけではなく、分科会チェアーも務めた)。この報告では、マイクロファイナンス機関へのアクセス改善が発展途上国における貧困削減に有効であることを明らかにした。カンファレンスでの報告と対論に基づいて、論文を作成し、現在、学術雑誌にて査読されている。また、2016年度は、この論文とは別に、新たに英語論文を3編執筆した。このうち2編は、途上国全体のデータを用いて金融包摂と国際送金、そして金融包摂と経済成長の関係を分析したものであり、1編はインドの金融包摂の貧困削減効果を銀行グループ別に分析したものである。前者の2編は以前執筆した複数の論文と合わせて共著の書籍として海外の出版社から公刊する計画を進めている。後者の1編は最終年度での報告には間に合わなかったが、2017年5月、中国・蘇州で開催される中国・西安交通大学とアジア開発銀行研究所主催の国際カンファレンスで報告する予定である。
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