本研究で研究代表者は,期待インフレ率に関する理論・実証分析を行った.まず,期待インフレ率についてのアンケート調査から,回答結果を数量データに変換する方法を開発した.平均・分散のみならず,歪度,尖度を考慮した分布を推定することにより,単純な加重平均で算出する期待インフレ率に対して,上方バイアスを修正した期待インフレ率系列を得た.次いで,DSGEモデルを計算ソフトで記述し,DSGEモデルの構造を明らかにした.また,ケインズの期待インフレに対する考え方をサーベイし,1930年代における「期待インフレ率」の経済学説史的な位置づけを確認した.
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