研究課題/領域番号 |
26380338
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
紀國 洋 立命館大学, 経済学部, 教授 (90312339)
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研究分担者 |
田中 悟 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20207096)
友田 康信 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30437280)
大堀 秀一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70378959)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | disposal fee policy / durable goods / EPR |
研究実績の概要 |
研究分担者と協力しながら、拡大生産者責任(以下、EPRという)に関する学術文献のサーベイを行うとともに、耐久消費財市場におけるdisposal fee policyの制度設計に関するモデル分析を行った。本研究のモデル分析の特徴は、(1) 耐久財市場が不完全競争であること、(2) 財の生産者は耐久性選択に関する戦略的な行動をとる可能性があること、(3)消費者が廃棄物の不法投棄のインセンティブを持っていること、を考慮に入れている点である。 上記の3つの視点を踏まえたモデル分析を行った結果、(1) 耐久消費財市場が不完全競争である場合、disposal fee policyの制度設計が企業の耐久性選択に影響を与えること、(2) 環境負荷を軽減するような制度設計が市場の効率性を妨げる可能性があること、を発見した。この成果については、"Waste Disposal Fee Policy for Durable Goods"のタイトルでDiscussion Paper No. 14009 (Faculty of Economics, Ritsumeikan University)にまとめ、学外での研究会報告を複数回行った。研究会におけるコメントを踏まえた改訂を行い、海外の査読付き学術雑誌への投稿準備を進めている。 これまでのEPRの研究においては、不完全競争下の企業の戦略的行動を考慮に入れた分析がほとんどないことから、本研究の学術的な意義は高いと考える。また、本研究は、disposal fee policyを設計する際に、政府の環境政策担当部局と競争政策担当部局の間で対立が発生する可能性があることを示唆しており、政策的な観点からも意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学術研究のサーベイおよびモデル論文の作成が進んでいる。研究会でも複数回報告している。研究分担者とは頻繁に打ち合わせを行い、論文のアイデアのストックを十分に蓄えることができた。政府機関へのヒアリング調査が十分ではなかった点以外は、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度に構築したモデルを、生産者の廃棄物処理技術への投資行動や消費者の環境配慮行動を読み込んだモデルに発展させ、モデルの精緻化を図るとともに、disposal fee policyの効果の実証研究を行う。さらに、政府機関にヒアリングを行うことにより、EPRに関する実態把握を進め、それをモデル分析や実証分析に反映させる。また、国内外の学会において研究成果を報告し、海外の査読付き学術雑誌への投稿を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が行う予定であった政府機関へのヒアリング調査が、先方都合により2015年度に延期されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者が延期になっている政府機関へのヒアリング調査を2015年度に実施する。
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