研究課題/領域番号 |
26380340
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
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研究分担者 |
林原 正之 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (00104901)
岡村 誠 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30177084)
野村 良一 立命館大学, 経済学部, 准教授 (60465599)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 縦割り行政 / 省益 / 補助金 / 関税 / 長期的視野 / 短期的視野 |
研究実績の概要 |
2014年度は、調書にある通り、公共選択の知見をメンバー間で共有し予備的考察を行う年と規定した。打ち合わせは計3回行った。それらは5月25日、6月15日、10月25日であった。 今年度の実績は次のとおりである。 目的1に挙げた「省益優先」の政策当局が「慈悲深い」政府のふりをするのか?ということについて焦点を絞り、予備的な考察を行った。 具体的には、政府が自国産業を補助する部門と外国企業から関税を徴収する部門の2つから成ると仮定し、それぞれの省益を最大化するとする場合、政策行使の手番がどのようになるかというものである。この成果の一部は後述する林原(2015)の11章に示されている。 上記の結果を受けて、政策行使が部門間で縦割りになっている場合、省益優先の目的を有する政府のある部門が慈悲深い政府のふりをして行動した方が、結果として省益が増加する可能性を数理モデルを使って突き止めた。しかしながら、計算が終了した段階であり、なぜそのような行動をとるのかについての直観的説明はついていない。それゆえ、論文の形に結果をまとめられていない段階である。 目的2である政府間の政策策定の際の視野の長さの違いについては、FTAの形成を題材に予備的な考察を行った。これまで近視眼的な視野を持った政府間でFTA形成は分析しているので、今年度は、長期的な視野に立った政府間でのFTA形成が生じるのかどうかを分析したが、FTAがそもそも形成されない場合が生じてしまい、モデルの枠組み変更を余儀なくされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績の概要でも触れたが、目的1については、所望の結果を得ることができている。すでに、執筆作業にも入っているゆえ、今年度中にfirst draftを完成させることが可能であると思われる。 目的2については、モデルの変更を余儀なくされているが、長期的視野と短期的視野の選択可能な状況を考える前に、長期的視野に立つ政府間でFTAが結ばれるのかどうかを今一度分析することに立ち返って、分析を行うという方針で、すでにモデルの計算に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
目的1については、今年度はfirst draftを仕上げることに注力する。そして完成したfirst draftを公共選択の専門家である須賀先生(早大)に見ていただき、講評を得ることにしている。 目的2に関しては、前述したが、長期的視野に立つ政府間でFTAが結ばれるのかどうかを今一度分析することに立ち返って、分析を行うという方針で、すでにモデルの計算に入っている。今年度中には、この計算を論文にまとめる方向で進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
この理由は、2つある。1番目は、研究分担者岡村誠先生の体調不良および長期入院(2014年11月ー2015年2月)によって、岡村先生自身の研究活動が中断を余儀なくされたことである。2番目は、林原先生が次年度以降の海外学会参加のための海外渡航費に充てるためである。
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次年度使用額の使用計画 |
本来H26年度に岡村先生が行う予定であった、公共選択の知見を共有するための学会参加活動などが不十分であったので、その費用に充てることにする。林原先生の場合は、海外学会参加のための海外渡航費(の一部)に充てることとする。
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