研究課題
本研究は、企業の自主的に環境保全への取組みを考察するものである。これまでの既存研究による説明は、①政府による公的な規制の回避、②企業の社会的責任やブランドイメージの向上、の二つに大きく分類できる。これらの説明は一定の説得力を持つが、想定可能な企業の環境保全に対する自主的取り組みのインセンティブが、すべて説明されたわけではない。本研究の目的は、政府が環境税を導入する不完全競争モデルにおいて、どのような条件の下であれば企業が自主的な取組みを行うインセンティブがあるか、そのメカニズムを明らかにする。現実の政府は環境政策を導入する際に事前に主要な企業にヒアリングを行うことから、政府の目的関数は社会厚生のみならずより大きなウェイトを与えた企業の利潤の和とする。企業が先手番で汚染削減水準を決定する場合のモデルは以下のとおりである。第1段階では、企業が汚染削減努力水準を決定する。 第2段階では、政府が環境税を決定する。第3段階では、クールノー競争の下で企業が生産量を決定する。得られた結果としては以下のようになる。政府と企業が戦略的補完関係にあり、かつ、政府がより企業の意見を聞き入れる場合、最適環境税がマイナス、つまり環境補助金になる。そのとき、社会厚生が高まる可能性がある。
すべて 2018
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Environmental and Resource Economics
巻: forthcoming ページ: pp. 1-18.
https://doi.org/10.1007/s10640-018-0248-6
EGC Report
巻: 2018/03 ページ: pp. 1-12.