研究課題/領域番号 |
26380346
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
文能 照之 近畿大学, 経営学部, 教授 (30388491)
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研究分担者 |
井戸田 博樹 近畿大学, 経済学部, 教授 (10352957)
辻 正次 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (90029918)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イノベーション / 組織学習 / 吸収能力 / ICT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中小企業におけるイノベーション創出の要因を、組織が新しいものを吸収し、それを活用し新たものに変換するプロセスを通じて明らかにすることである。 本年度は、ASEAN4か国(ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア)のローカル企業及び多国籍企業を対象に、イノベーションの創出要因の解明を行った。 その結果、ASEAN諸国においてもAbsorptive Capacity(吸収能力)並びにICTの利活用は、イノベーション創出に大きな影響を及ぼしていることが確認でき、我が国中小企業と類似の結果が得られた。具体的には、Absorptive Capacity(吸収能力)は、イノベーションには直接影響を及ぼさず、組織学習の効果を高め、その結果イノベーションが創出される。また、ICTを利活用することで、ローカル企業及び多国籍企業ともイノベーション創出を実現していることが明らかとなった。 次に、対象企業をASEAN地域の豊富な資源を活用する自然資源型産業と、組立加工業等を含むすべての産業の2つに区分し、①技術、②組織学習、③ICTの利活用、④外部リンケージの4つの視点から、その差異分析を行うことによりイノベーション創出の要因を検討した。その結果、全体では、組織学習、資本財、及びICT利活用のいずれもがプロダクトイノベーションの創出に寄与しているが、ASEANの特徴である自然資源型産業では、組織学習のみがプロダクトイノベーションを創出しており、業種による大きな差異が確認された。一方、プロセスイノベーションについて見ると、全産業では資本財及びICTの利活用が有効であるが、自然資源型産業では、ICTの利活用のみが有効であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度にアンケート調査を実施することとしていたが、海外の研究者からイノベーション創出に影響を及ぼす要因を検討する際の貴重なアドバイスをもらうことができた。その助言を別の機会に研究に活かすことを検討したが、時宜を逸する可能性が高いため、本研究の中に取り込んで実施することにした。このとにより、企業経営者への追加インタビューを実施する必要が生じ、アンケート項目の設定に時間を要することになった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に企業経営者への追加インタビュー調査を行うとともに、必要な文献等の収集と検討を行ったため、本年度はアンケート調査を実施するとともに、そのデータの集計・分析を行うことができるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査を実施することとしていたが、海外研究者からの助言に基づき実施時期を1年繰り下げることにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
助言に基づき中小企業経営者への追加インタビュー調査を実施し、アンケート項目を確定させた後にアンケート実施する。また、回収した調査票のデータ入力等に未使用額を充当することで研究を進めていく。
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