従来の経済学においては個人の経済行動を説明する基本原理として、効用最大化仮説および利潤最大化仮説が支配的であったが、こうした仮説では現状および将来の社会保障政策や所得再分配制度の基礎としては十分ではない。なぜならば年金や公的扶助制度を維持しようとする社会的合意は利達成・互恵性・不平等回避といった社会的選考の上に成立していると考えられるからである。そこで本研究では社会的選考を有したモデルを公共財の自発的供給を用いて構築した。その結果、どのような所得再分配政策を行えば厚生水準を高めることができるのか、個人の利得を最大とする所得分布と公共財供給の手番との関係をそれぞれ明らかにすることができた。
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