本研究では各国の家族政策・労働市場政策が女性の就労や子育て世帯間の所得格差に及ぼす影響について分析した。海外調査と文献サーベイからは、香港や台湾など豊富な移民家事労働者が利用可能な社会では高学歴女性の育児期の就労および長時間労働が可能となり、それが子育て世帯間の所得格差につながっていることが示唆された。日本の母子世帯と二親世帯についての実証分析からは、母子世帯の子どもが経済面だけでなく、親と過ごす時間や親との食事の頻度の面でも不利な状況にあることが明らかにされた。国際比較データの分析では労働時間が週40時間を超えると両立困難感が増大することが示された。
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