本研究は,中央政府と地方政府があるところで,公教育を中央政府によって集権的な形で行う,あるいは各地方政府によって分権的な形で行うことで,人的資本の蓄積を通じて経済成長率が決定されるモデルの構築を行った。その際,現時点の経済厚生と,将来の経済厚生につながる成長に一定のウエイトを置く政府の最大化問題と考えた。そこでは,中央政府がより成長志向にあるとすると,中央政府から地方政府への財政移転の額がより小さくなることが示された。これは地方政府が成長志向であると,より自立的な財政運営を行うことを示唆している。
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