高学歴介護労働者の動向については、まず、最近の「福祉」を称する学部の志願者動向を観察し、平成20年度以後は、急減傾向が止まってほぼ横ばいの状況にあることを示した。こうした学部の卒業生である福祉関係学科大卒の社会福祉士資格を保有する女子介護労働者は、介護安定センターの個票データでは、主な仕事が介護職員・生活相談員、介護支援専門員のサンプルがおよそ1/3ずつ存在する。年齢層から、ある程度のキャリアパスが存在することが伺われ、介護支援専門員では不満が少ないなどの意識の特徴がある。 比較的サンプルの多い一般学科卒の男子介護職員の意識を高卒男子、大卒女子と比較すると社会や利用者に対する自己の就労をの意味を問うなど、社会性は高いが専門資格の取得や利用者との対応などで「高度介護人材」とは言いにくいという特徴がみられた。 国勢調査のオーダーメード集計の結果、2010年の正規介護職員の60%が20歳から60歳であるが、この層の人口は、2035年に2/3に減少するとみられる。介護職員が全体としては、急増する中で2005-2010年で、既に人口が減少している20歳台では減少し、既に若年の正規介護職員を確保する問題は顕在化している。。 介護労働安定センターの個票を用いて、入力経路とマッチングの関係について、分析した。主な入職経路は「友人知人からの紹介」と「ハローワーク・人材銀行」である。医療福祉産業の経験の無い者に限って、今の勤続先の継続意欲が前者の入職経路のほうが有意に高いことが明らかになった。
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