ベイズ推定されたDSGEモデルを用いて、消費税などの税制改革がどのような効果を短・中期的にもたらすのかを探った。そのために、ハイスキル労働者とロースキル労働者を明示的に取り込んだ理論モデルを構築し、これをベイズ推定した。主な結論は以下のようである。①消費増税によって、物価の上昇、消費の減少、産出量の減少がもたらされた。②賃金率は上昇し、実質利子率は低下した。③所得格差に目を転じると、短期ではロースキル労働者とハイスキル労働者の賃金格差は縮小するが、④中期的には賃金格差は拡大した。⑤資本・労働の分配率についてみると、短・中期的には、労働分配率は上昇し、資本分配率は低下することが明らかになった。
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