研究課題/領域番号 |
26380368
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
牧 厚志 東京国際大学, 経済学部, 教授 (20051906)
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研究分担者 |
西川 理恵子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (00180597)
六車 明 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (60317287)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 石油ヤミカルテル事件 / 鶴岡灯油事件 / 計量経済分析 / ベクトル自己回帰モデル |
研究実績の概要 |
本研究では、消費者の求めた石油元売り業者に対する損害賠償請求事件の最高裁判所判決を計量経済モデルによって再検討した。ベクトル自己回帰モデルによって得られた結論は、鶴岡灯油事件の最高裁判所判決と矛盾しない。主な資料は次のとおりである。「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反被告事件」(昭和55年(あ)第2153号、昭和59年2月24日、第2小法廷判決)、刑集38巻4号、1287頁。「損害賠償請求事件」(昭和56年(行ツ)第187号、昭和62年7月2日、第2小法廷判決)、民集41巻5号、785頁。「損害賠償請求事件」(昭和60年(オ)第933号、平成元年12月8日、第2小法廷判決)、民集43巻11号、1259頁。 計量経済モデルについて、基本モデルは現実の小売価格が確率変数であり、それは真の小売価格と確率的攪乱項の和であるという設定をした。この設定は法律がまさに現実社会で起こった個人と企業の経済紛争を解決する体系であるということを踏まえると、現実に即した一般的であり常識的な特定化であった。Sims(1980)のセミナル論文では、マクロ経済学の分野で従来の主流な考え方であった「構造を安定的にとらえる」という共通認識に加え「経済予測の重要性」を再認識させ、VARモデルを提唱したが、今回の分析ではミクロ経済学の分野にもVARモデルの利用が可能であったという点で興味深い。 アメリカ合衆国において判例を経済理論で分析した成果は「法と経済」の分野で多数存在し、大きな貢献をしている。しかし判例を計量経済分析の手法で分析した例は多くはない。多様化する経済社会における紛争を解決するためには法学と経済学の共同作業が今後さらに必要性を高めるのではないだろうか。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析の一次資料として最高裁判所判例集を使っている。素案をたたき台にして論文を改良してきた。論文を公表するペースも比較的順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、引き続き最高裁判所判例を検討する。それに加え、今まで蓄積した研究結果を総合的に評価することも考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった高額資料の納品が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
高額資料購入予定
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