研究課題/領域番号 |
26380369
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
上原 克仁 天理大学, 人間学部, 講師 (60509157)
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研究分担者 |
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00155441)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 内部労働市場 / 生産性 / ウェアラブルセンサ / 行動データ / 人事データ |
研究実績の概要 |
分析対象企業である大手自動車販売会社でタイムユースサーベイを実施することを計画していたが、諸々の事情により実施することができなかった。そのため、内部労働市場と生産性向上に関する同様の調査を実施できる代わりの企業を探した。そして、国内で情報通信事業を行う大手企業の2つの事業所で、2016年1月から3月にかけて、ウェアラブルセンサ端末を用いた調査を行った。 この端末は、調査対象者が装着するだけで、誰と誰が社内のどこで何分間対面し、身振り手振りの活発さの程度などを含む従業員の行動の質と量を自動的に計測できるものである。これを用いることで、当初、本研究で計画していたタイムユースサーベイやアンケート調査よりも正確かつ信頼度が高い調査を実施することができた。この装置を1事業所50人に20日間つけてもらい、従業員間のコミュニケーションパターンを正確かつ詳細に把握することができた。このような新しい技術を内部労働市場の内実の解明のために用いた研究はこれまであまりなされておらず、意義が大きい研究をすることができた。 3月中旬に2事業所での計測を終え、得られた行動データを分析に耐え得る形に変換する作業を開始した。あわせて、分析対象企業から端末を装着してもらった者の人事や生産性に関するデータを入手し、入力を開始した。 他方、当初の分析対象企業である自動車販売会社から新たな人事データを入手した。昨年度はこのデータの入力に時間を費やした。タイムユースサーベイは実施できなかったものの、異なる手法を用い、当初の研究計画にあった生産性と内部労働市場の研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大手自動車販売会社で予定していたタイムユースサーベイを実施することができなかったことで、新たな企業を探し、交渉を行い、調査を実施するまでに時間を要した。しかし、年度内に調査を行うことができたので、その遅れはわずかで挽回できないものではないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
新しい分析対象企業の実態を把握するためのヒアリング調査、調査結果の解析、人事データ等の入力、それらを結合して計量手法を用いて行う分析と、やるべきことは数多くあるが、分担者や研究協力者の協力を得て、鋭意進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に行う予定だったタイムユースサーベイ調査にどれくらいの費用がかかるのか定かではなかったので、前年度、繰り越し額を多くした。今年度実施したウェアラブルセンサ端末を用いた調査が高額だったためその繰り越し額が有益だった。調査実施企業の変更等で計画が遅れたこともあり、論文執筆や学会報告に要する支出が少なかった。さらに、次年度、再度、ウェアラブルセンサ端末を用いた調査を行うことも予想されたため、当該年度の支出を抑制した。
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次年度使用額の使用計画 |
ウェアラブルセンサ端末を用いた調査ならびに論文執筆や学会報告にかかる支出に充てる。
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