予算額を決定する主体をプリンシパル、予算を政策に配分する主体をエージェントとし、エージェントの行動を観察してからプリンシパルが予算額を決定する場合、事前に最適な予算額が事後には最適にならないという動学的不整合性が発生することを示した。プリンシパル・エージェント間の非対称情報がエージェントの戦略的行動を誘発し、非効率を生み出す要因となることも示した。予算が公共事業に使用される場合についても分析を行った。エージェントの私的流用を埋め合わせるために、プリンシパルが次期に多額の予算を配分する場合があることを明らかにした。財政規律の維持のためには補正予算にシーリングをかけることが有効であることも示した。
|