本研究は、企業と労働者の連関を重視したさまざまなデータを活用しながら、多様かつ柔軟な労働市場システムのあり方を議論・検討するための基礎的なエビデンスを導出することを目的としている。具体的な研究課題として、1.企業や労働市場における女性活用のあり方、2.従業員のメンタルヘルスと企業活動のあり方、3.生活の多様性を考慮した人的資源管理のあり方などの解明がある。最終年となる平成29年度は、初年度に策定した分析フレームワークに従ってデータの解析を進めるとともに、収集した各種データを整理・解析し、研究論文の作成を進め、海外学術雑誌への投稿やその準備を行ったほか、国際学会(International Association of Time-use ResearchやWestern Economic Association International)などでの成果発表を行った。 研究成果としては、上記1の企業や労働市場における女性活用のあり方や3の生活の多様性を考慮した人的資源管理のあり方の解明に関連する論文を他の関連論文とともに編纂した書籍『多様化する日本人の働き方―非正規・女性・高齢者の活躍の場を探る 』(慶應義塾出版会)を共編著として出版した。また、2の従業員のメンタルヘルスと企業活動のあり方については、関連する論文(Why Do People Overwork at the Risk of Impairing Mental Health?)が査読付き英語雑誌(Journal of Happiness Studies)に「小幅な改訂のうえ採択」(accepted with minor revision)された。
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