本研究では、人々の就業形態とその変遷について、オーストラリアと日本のパネルデータを用い、動学的パネルデータ分析法を適用して分析した。その結果、1年前の就業が今年の就業に結びつく確率は両国とも男性より女性において高いこと、また男女別ではオーストラリアでも日本でもほぼ同水準であることがわかった。1年前に正社員・無期契約で就業していたことが、今年の正社員・無期契約での就業に結びつく確率も同じ方法で分析した結果、オーストラリアと較べ、日本で特に高いとは言えないことがわかった。また、職業教育や訓練が新規就業を促す効果も分析したが、プラスの効果が見られたのは日本の女性のみであった。
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