本研究の研究目的は,社会的インフラ整備が経済成長に貢献してきたか,それとも生産要素市場におけるクラウディングアウトを通して経済成長を阻害する方向に作用してきたか否かを,理論的にかつ実証的に検証することであった.とくに労働市場においてクラウディングアウトと類似した現象が発生したか否か,すなわち,社会的インフラ整備が建設業に従事する労働者の割合を上昇させる一方で,一般の民間労働者の割合を低下させた可能性について実証分析を展開してきた. しかし,残念ながら,統計的に有意な関連性を見いだすことができなかった.このテーマについて,引き続き独自にこの問題の研究を続けていきたいと考えている.
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