個人の現在偏向という選好が,貯蓄以外の3つのリスク回避行動-家族形成,教育,健康投資-にどのような影響を与えるのか,そして,現在偏向が存在するときの最適政策とはどのようなものかについて研究した.主要な研究成果は,(1) 祖父母の協力が出生の重要な要素であるとき,児童手当は出生率を低下させ得ること,(2) 養育財生産において,生産要素としての資本と労働が補完的であるとき,資本蓄積の過程で出生率が変動し得ること,(3) 国債管理を厳格化することにより,財政の持続可能性のみならず,経済成長率と出生率を引き上げることができること,を明らかにしたことである.
|