本研究は時間選好およびリスク選好における異質性・多様性を考慮した国際マクロ動学分析を展開した。[A]時間選好についての分析では、(1)内生的時間選好や(2)双曲割引を導入して、経常収支を含めた主要マクロ経済変数の決定に関する考察を行った。また、[B]リスク選好についての分析では、(1)Kreps-Poteus型の(相対的危険回避度と異時点間消費の代替弾力性が分離可能な)非期待効用関数、(2)first-order risk aversionとなる非期待効用関数、(3)ナイト流不確実性を導入して、国際マクロ経済学・国際金融における各種パズルの解明に取り組んだ。 平成30年度において、[A]時間選好についての分析に関しては、前年度までに①新古典派経済学的な基本設定、②財市場における独占的競争および名目価格の硬直性を導入したニュー・ケインジアン・モデルの設定、③研究開発(R&D)に基づいた内生的成長モデルの設定、④金融市場における不完備市場(incomplete market)の設定や⑤monetary policy ruleの設定というように、様々な設定において展開してきた(1)内生的時間選好を導入した分析、および、(2)双曲割引を導入した分析をさらに発展させて、主要マクロ経済変数の決定に関する考察を行った。 また、[B]リスク選好についての分析に関しては、(1)Kreps-Poteus型の非期待効用関数、(2)first-order risk aversionとなる非期待効用関数、および、(3)ナイト流不確実性を導入した分析をさらに発展させて、国際マクロ経済学・国際金融における各種パズルの解明に取り組んだ。
|