研究課題/領域番号 |
26380390
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
西出 勝正 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (40410683)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
今年度は,研究期間の中間年度として,先行研究を踏まえて新しい理論モデルの構築を目指すとともに,国際学会を中心とした幾つかの学会に参加してこれまで得られた結果の内容や質を向上させることに努めた. 理論モデル構築における着眼点と意義は以下の通りである.経済環境の突然的変化を表現する数学的手法としてMarkov連鎖のモデルへの導入を第一義に取り組んだ.特に,価格などの状態変数を規定する期待収益率やボラティリティなどのパラメータがMarkov連鎖に従って変化するモデルは,数学的な取り扱いが比較的容易(連立方程式に帰着される)なので,既存研究のモデルパラメータへMarkov連鎖を導入し,結果の新奇性や斬新性について検証した. 新しく得られた結果は以下の通りである.(1)昨年度から続いているMarkov switchingを導入した株式オプション価格に関する研究については,特異点での積分計算に工夫を加えることでより精緻な結果が得られることが分かった.(2)昨年度から続いている,斉時モデルにMarkov switchingを導入する研究では,レジーム変化に伴う不確実性のオプション価値が各企業の投資戦略に影響を与えることを示すことができた.(3)非斉次モデルにおける投資戦略の研究では,いわゆるbad news principleが多くの場合に成立することが分かった.以上の研究成果について(1)と(3)は査読付き論文雑誌への採択が正式に決まった.また,(2)についても軽微な改訂で採択の見込みである. 以上,研究計画に対して順調に実績を挙げていると言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から継続していた研究論文2本が査読付き国際論文雑誌に無事採択された.また,その他の研究論文も1本が採択見込みであるなど,研究計画は極めて順調に推移している.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は研究機関の最終年度として,研究論文の質を更に向上させるとともに,研究の纏めとしてこれまで得られた結果から示される経済学的示唆や政策への含意についても言及したい.そのためには,引き続き国内外の学会・研究集会に積極的に参加することで研究者間の交流を深めていくことを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたオーストラリアへの出張(学会報告)について,金額の一部を先方負担とは変更になったため,繰越金額がやや多くなった.それ以外の項目はほぼ計画通りに使用されている.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は前年度で得られた理論結果を検証と精緻化に努め,最終の取り纏めを実施する予定である.そのために,できる限り多くの国内外の学会等で積極的に研究報告を行う(現時点で国際学会2件,国内学会4件程度に参加する予定).また,理論結果と実証研究との整合性を確認する作業に必要な計算機(パーソナルコンピュータやワークステーション)やソフトウェアの購入にも充てる予定.その他,必要に応じて共同研究のための旅費や関連書籍の購入にも充当する.
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