• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

効率性仮説と平穏仮説を統一的に説明できる理論の構築とその地方銀行への適用

研究課題

研究課題/領域番号 26380391
研究機関富山大学

研究代表者

本間 哲志  富山大学, 経済学部, 教授 (60241775)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード効率性仮説 / 平穏仮説 / フロンティア上(最も費用効率的な銀行)の競争度 / 異時点間規則的連鎖 / 動的費用効率性 / 市場集中度(ハーフィンダール指数) / 産業組織政策 / 独占禁止政策
研究実績の概要

前年度の実証分析の結果を踏まえ,その理論的及び産業組織政策的含意を明らかにするために,初年度に作成した理論モデルに基づきながら,効率性仮説及び平穏仮説の理論的解釈とその含意,両仮説とフロンティア上(最も費用効率的な銀行)の競争度との関係,同様の競争度における異時点間規則的連鎖の存在と両仮説との関係を理論的に明らかにした.理論分析の結果,得られた最も重要な知見は以下の通りである.
第1に,最も費用効率的な銀行の競争度から見て,両仮説の両方もしくはどちらか一方の成立・不成立は望ましい場合も望ましくない場合も存在し,①平穏仮説の成立による独占禁止政策の正当化ができないケースがあること,ならびに,②効率性仮説の成立が望ましくないケースにおける新たな産業組織政策の必要性が示唆される.とりわけ①については,独占禁止政策が正当化されるのは,市場集中度の上昇が上述の競争度を低下させる場合に限定されることを意味し,その施行には慎重な配慮が求められる.
第2に,少なくとも理論的には,最も費用効率性の高い銀行の単一期間競争度に異時点間規則的連鎖(サイクル的連鎖,単調傾向的連鎖,毎期上下変動的連鎖)が存在する可能性があり,その場合,長期的視点から産業組織政策の必要性を判断しなければならない.具体的には,こうした異時点間規則的連鎖が下落傾向を示し,それが主として単一期間市場集中度(ハーフィンダール指数)の異時点間規則的連鎖の上昇傾向によってもたらされているのであれば,長期的な観点から独占禁止政策は正当化される.しかしながら,単一期間動的費用効率性もしくは計画された単一期間最適金融財の異時点間規則的連鎖からもたらされているのであれば,長期的には独占禁止政策は市場に不必要な歪みをもたらす可能性があり,それ以外の新たな産業組織政策が必要とされる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

入試関係業務の多忙や姉の脳腫瘍(ガン)の悪化などにより,当該研究に専念できる心の余裕と時間が制約されたことが最大の理由である.あわせて政策的なインプリケーションのいっそうの明確化のため,初年度に作成した理論モデルの再検討の必要性が生じたことももう一つの理由である.ただし,後者については十分な検討ができたため,全体として「遅れている」という判断には至らなかった.次年度は,今年度の理論的検討を踏まえ,一昨年度に構築された確率的オイラー方程式を含むモデルの推定に取り組む予定である.

今後の研究の推進方策

次年度も実証分析作業が中心となるため,今年度と同様,初年度に購入したワークステーション(Dell社製・Precision T7610)とデータ(日経メディアマーケティング(株)『NEEDS-CD ROM 日経金融財務データ(銀行・単独本決算)』,同『NEEDS-CD ROM 日経マクロ経済データ』)をフルに活用することを考える.また,今年度研究会等で発表し,指摘された修正及び改善点等を次年度の推定に反映させる予定である.あわせて,理論的な論文と実証的な論文の2つを作成し,富山大学リポジトリ(ToRepo)にて公表する予定である.

次年度使用額が生じた理由

入試関係業務の多忙や姉の脳腫瘍(ガン)の悪化などにより,当初計画が遅れたため.あわせて政策的なインプリケーションのいっそうの明確化のため,初年度に作成した理論モデルの再検討の必要性が生じたため(次年度繰越額443,516円).

次年度使用額の使用計画

次年度に繰り越す金額443,516円は英文校正費(一部翻訳料も含む)と投稿料,印刷費に充てる予定である.

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi