本研究では、銀行合併が銀行の顧客企業への貸し付けに与える影響を分析する。貴重なパネルデータを用いて、需要サイドの影響を補正できる。また銀行合併のメインバンクからの貸出金の供給のみに焦点を絞って観察する。さらに、銀行合併が銀行の顧客企業のパフォーマンス(具体的に借入金利、総貸出金額、デフォルトまでの時間と企業の設備投資)への影響も検討する。合併した銀行をメインバンクに持つ企業は、メインバンクからの貸出金の供給が明らかに減る。健全な企業はメインバンク以外の銀行から貸出金を集められるが、銀行に不健全に依存している企業、いわゆる「ゾンビ企業」はできない。
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